参加者数1,300名超、日本の魅力を世界へ発信するクールジャパンDXの祭典が盛況のうちに閉幕
クールジャパンDXサミット実行委員会(運営事務局:Vpon JAPAN株式会社、本社:東京都新宿区、代表取締役社長:篠原 好孝)は、2024年12月9日(月)に東京・八芳園にて開催された「クールジャパンDXサミット2024」が盛況のうちに終了したことをお知らせいたします。
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クールジャパンDXサミット2024開催概要
- 開催日時:2024年12月9日(月) 11:00〜19:00
- 会場:八芳園(東京都港区)
- 参加形式:会場・オンライン参加のハイブリッド開催
- 参加者数:1,300名超
- オフィシャルサイトはこちら
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プログラム実施報告
OPENING TALK
「本当の意味のクールジャパンというところを追求しながら且つ、足りていないDXという部分を皆さんと一緒に事業共創していけるような、そんな一日にしたい」と話す篠原。
「今、私たちは日本の良さを再発見し、評価し直す時期にあります。ただし、単一民族社会で育まれた文化であるため、異なる要素を結びつけることやグローバルな発信に課題があります。そこで、DXの力を活用することで、日本の魅力を世界へより効果的に届けることができるのではないでしょうか。クールジャパンDXサミットとても楽しみにしております。」と日本ガストロノミー学会 代表/株式会社フードロスバンク 代表取締役社長 山田 早輝子 氏より開幕宣言をいただきました。
(写真左から:クールジャパンDXサミットオーガナイザー/VponグループCEO 篠原 好孝、日本ガストロノミー学会 代表/株式会社フードロスバンク 代表取締役社長 山田 早輝子 氏、総合司会 ゆーまろ 氏)
【パイオニアトーク】日本の魅力で世界を元気に!岡田会長に迫る!FC今治の躍進と今治地域創生モデルの真髄。
元サッカー日本代表監督の岡田武史氏が、FC今治の立ち上げから現在までの10年間の取り組みについて語りました。当初はサッカー選手の育成方法「岡田メソッド」の実践の場として始まりましたが、次第に地域創生のモデルケースへと発展していきました。
そして、新しく建設された「アシックス里山スタジアム」の構想。単なるサッカー専用スタジアムではなく、畑やカフェ、ドッグランなどを備えた地域コミュニティの拠点として設計され、42億円の資金を集めることに成功しました。
その結果、今治市は2023年には12,000人の移住者を集め、人口20万人以下の都市で「日本一移住したい街」に2年連続で選ばれるまでに変貌。岡田氏より、このプロジェクトを通じて、次世代のための持続可能な社会づくりと、共助のコミュニティ形成の重要性を説いていただきました。
(写真左から:クールジャパンDXサミットオーガナイザー/VponグループCEO 篠原 好孝、株式会社今治. 夢スポーツ代表取締役会長/元サッカー日本代表監督 岡田 武史 氏)
【SESSION 1】鍵はDX!新たなクールジャパン戦略は機能するのか
コンテンツ産業は、ゲームやアニメを中心に4.7兆円規模まで成長。しかし、さらなる発展のためには周辺産業やインフラの整備が必要とされており、食文化については、全都道府県で訪日外国人の第一の動機となっていますが、サステナビリティへの対応とともに、アレルギーや宗教的な配慮など、国際基準への適応が課題として挙げられています。美味しさと楽しさという本質を保ちながら、これらの課題に取り組むことが重要とのこと。ラグジュアリー市場では、コロナ禍を経て「削ぎ落とされた贅沢さ」という日本独自の価値観が注目を集めています。単なる高級品ではなく、精神性や体験を重視する新しいラグジュアリーの形が世界で評価されつつあるとのこと。
政府は2033年までに海外展開50兆円という目標を掲げ、従来のコンテンツ、食、インバウンドに加えて、美容やファッションも注力分野として位置付けています。この目標達成には、各分野の連携と持続可能なビジネスモデルの構築が不可欠と説いていただきました。
(写真左から:エンタメ社会学者/株式会社Re entertainment 代表取締役 中山 淳雄 氏、日本ガストロノミー学会 代表/株式会社フードロスバンク 代表取締役社長 山田 早輝子 氏、株式会社講談社JAXURYエグゼクティブプロデューサー/元講談社with 編集長 吉岡 久美子 氏、内閣府知的財産戦略推進事務局 企画官 道祖土 直美 氏、A.T.カーニー 日本法人 会長/CIC Japan 会長 梅澤 高明 氏)
【SESSION 2】日本の食文化「発酵」の伝統と革新 - DXと事業創造で世界の舞台へ -
400年の歴史を持つ金沢の老舗酒蔵・福光屋の14代目である福光氏からは、日本酒製造で培った発酵技術を活かした新商品開発の事例として、アミノ酸を豊富に含むスキンケア製品の開発秘話が紹介されました。俳優であり映画監督でもある斎藤氏は、発酵食品中心の生活を通じて得た知見や、食環境改善の取り組みについて語りました。元サッカー日本代表で現在は腸内細菌研究を行う鈴木氏は、アスリートの腸内細菌研究を通じて見えてきた健康と発酵の関係性について解説し、腸内環境を整えることの重要性を強調しました。
議論を通じ、日本の伝統的な発酵技術が世界的に注目を集めている一方で、その価値が国内で十分に認識されていない現状も指摘されました。伝統技術を継承しながら現代のニーズに応じた革新を進めること、そして日本の発酵文化を世界に向けて積極的に発信していくことの重要性を説いていただきました。
(写真左から:クールジャパンDXサミットオーガナイザー/VponグループCEO 篠原 好孝、元サッカー日本代表/AuB株式会社 代表取締役 鈴木 啓太 氏、俳優・映画監督 斎藤 工 氏、株式会社福光屋 14代目 福光 太一郎 氏)
【SESSION 3】世界で広がる日本食ブーム - 食輸出の最前線とDXの進化 -
食のグローバル展開において、日本食は「素晴らしいから世界で受け入れられる」という単純な発想ではなく、各国や地域の特性に合わせたアプローチが必要であることが強調されました。例えば、お菓子のサブスクリプションビジネスを展開する近本氏は、デジタルマーケティングとリアルな体験の組み合わせの重要性を説明。水産業からは、鹿児島でハマチの養殖・輸出を手がける松永氏が、サーモンのような世界的な展開を目指すには、日本食市場に限定せず、その国の一般市場への浸透が重要だと説いていただきました。
また、サステナビリティへの関心が高まる中、日本の優れた取り組みが十分に世界に伝わっていない課題も指摘されました。これらの課題を解決するためには、データに基づいたマーケティングと、各国に合わせたストーリー作りが重要だと説いていただきました。
(写真左から:Food Tech Trading CEO ニモ・グラスマン 氏、グローバル・オーシャン・ワークスグループ 代表 増永 勇治 氏、株式会社ICHIGO 代表取締役社長CEO 近本 あゆみ 氏、日本食品海外プロモーションセンター(JFOODO)執行役 北川 浩伸 氏)
【SESSION 4】新たなクールジャパン戦略の視点 - 新規軸 " WESTA " とは -
日本文化に根付く「調和」の概念。茶道における所作と空間の調和、アートにおける自然との調和、そして企業経営における東洋的な知性と調和など、様々な角度から議論が展開されました。
また、新しい概念として「WESTA」(ウェルビーイング・サステナブル・トランスフォーマティブ・オーセンティック)が提示され、これを軸に日本文化の今後の可能性が探られました。特にAI時代において、データ化できない価値や感性の重要性が増していることが指摘され、日本文化が持つ自然との共生や精神性への注目が高まっていることが強調されました。
このディスカッションを通じて、日本文化の持つ価値が、現代社会が直面する様々な課題に対して、重要な示唆を与えうることが浮き彫りとなり、特にアジアを中心に、日本的な価値観や文化への関心が高まっていると説いていただきました。
(写真左から:一般社団法人Zen2.0 共同代表理事 宍戸 幹央 氏、遠州流茶道/元ラクロス日本代表 小堀 宗翔 氏、アーティスト 小松 美羽 氏、価値デザイナー/内閣府クールジャパン官民連携プラットフォームディレクター 渡邉 賢一 氏)
【SESSION 5】忖度なしの観光DX - インバウンドの高付加価値化と現在地 -
デジタル化はそれ自体が目的ではなく、むしろアナログやリアルな体験を充実させるための手段として捉えるべきという意見が出され、具体例として、宿泊施設でのIoTやシステム導入による業務効率化が挙げられ、これにより接客時間を増やし、サービスの質を向上させることが可能になるとのことです。
また、データの「見える化」の重要性も強調されました。観光客の動向や消費傾向を正確に把握することで、より効果的な観光戦略を立案・実行できるようになります。特に、人口減少や人手不足が進む中で、デジタル化への取り組みは避けられない課題となっています。
今後の課題として、デジタル技術を活用しながら、いかに地方部への観光客の分散化を図り、各地域の独自の価値を高めていくかが挙げられ、単にデジタル化を進めるだけでなく、その先にある真の観光価値の創造を目指すことの重要性を説いていただきました。
(写真左から:内閣府クールジャパンプロデューサー/東京都立大学 客員教授 陳内 裕樹 氏、元湯 陣屋 代表取締役 女将 宮﨑 知子 氏、WAmazing株式会社代表取締役CEO 加藤 史子 氏、株式会社JR東日本びゅうツーリズム&セールス 代表取締役社長 高橋 敦司 氏)
【SESSION 6】大阪・関西万博カウントダウン! 「いのち輝く未来社会のデザイン」とテクノロジーの融合
2025年という年が昭和から100年という節目であり、世界が分断や対立に向かう中で、大阪・関西万博は日本が世界の調和と共生を促す重要な機会になるとのこと。
万博の具体的なコンテンツとしては、美術館、博物館、健康長寿温泉、世界とつながる「ワンワールド・プラネット」といった催しが計画されています。また、相撲や花火など、日本文化を世界に発信する様々なイベントも予定されています。
重要な点として、この万博は単なる6ヶ月のイベントではなく、その後の日本の観光や地域振興にもつながる、長期的な視点を持って準備が進められています。特に、大阪を起点として日本全国への観光客の誘客や、地方の魅力発信の場としても位置づけられています。
体験を通じて心で感じ、その経験を次の人々に伝えていくような参加型の万博にしたいと説いていただきました。
(写真スクリーン:元観光庁長官/公益財団法人大阪観光局 理事長 溝畑 宏 氏、写真左から:大阪・関西万博 催事企画 プロデューサー 小橋 賢児 氏、価値デザイナー/内閣府クールジャパン官民連携プラットフォームディレクター 渡邉 賢一 氏、株式会社イントゥ 代表取締役/観光ブランドプロデューサー 小松﨑 友子 氏)
【SESSION 7】Gatcha Popはクールジャパン再起動の旗手 - 最前線はどう独力で開拓したのか -
2024年は、新しい学校のリーダーズやYOASOBIなど、日本の音楽アーティストが世界的なストリーミングチャートで存在感を示し、国際的な評価を高めた年でした。特に、従来のアニメタイアップに頼らない形での成功が特徴的でした。
デジタル時代における音楽の展開について、ストリーミングデータだけでなく、実際のライブパフォーマンスやプロモーション活動の重要性を示唆。特に、アジア圏での日本音楽への関心の高まりや、「アジアンカルチャー」全体としての価値向上が追い風となっていることが語られました。
今後の課題として、音楽業界全体としての連携強化や、若手人材の育成の必要性が挙げられました。また、クールジャパン政策においては、既存アーティストの海外展開支援だけでなく、次世代のプロデューサーやクリエイターの育成支援の重要性も説いていただきました。