・はじめに
2021年3月26日(金)サイバー・コミュニケーションズ、テンセントジャパン、Vpon JAPANの3社による共催オンラインセミナーが開催され、Vpon JAPANからは「台湾・香港の消費者動向からみるマーケティング施策及び事例紹介」と題して、台湾出身のシニアアカウントマネージャー江 佳霈(コウ カハイ) がお話しました。
・ニューノーマルの台湾人と香港人の現状について
まず最初は、現在の台湾人、香港人の状況を「消費行動」と「旅行意向」の2つの観点からお話しています。さらにそれをビッグデータおよびアンケート調査データの視点でご紹介します。消費行動の傾向として
1:現金よりキャッシュレスで
2:レストランに行くよりも自宅で
3:実店舗よりオンラインで
の3つが挙げられ、直近2021年の2月(中華圏の旧正月、春節)時期の以下データを御覧ください。
・消費行動(現金よりもキャッシュレス)
今年の春節(2021年2月、中華圏の旧正月)の時期において、台湾でのアプリのダウンロード状況として、直近3ヶ月のアプリダウンロード状況で見ると25%がキャッシュレスとなっており、特にEasy Wallet(日本のSuicaのような存在)では、春節のダウンロードキャンペーンも相まって前週比28%以上とダウンロードが大幅に増加しています。
香港の直近3ヶ月のアプリダウンロード状況では18%がモバイル銀行系のアプリとなっており、Fusion Bankが新年3日間で新規ダウンロード数の成長率が137% と大幅な上昇となりました。ZA BankについてもFusion Bankほどではないにしても14%の成長となっています。
これらは、大型連休時期だからこその促進キャンペーンが大きいですが、ユーザーのニーズを捉えてトレンドをブーストさせる結果と言えます。
仮想通貨アプリでは、台湾で、アプリダウンロードの20%、香港で25%を占めており、日本でも同様の傾向がありますが、今のウィズコロナの時期だからこそ投資をするという傾向が見られています。
実際の統計データから見ても、コロナ前からキャッシュレスの利用は増加しており、コロナによってよりキャッシュレスの意識は高まっていると言えそうです。
・消費行動(レストランに行くよりも自宅で)
上記は香港のフード系アプリの新規ダウンロードですが、この時期にまだ香港ではレストランの人数制限などが適用されていた背景も重なり、Foodpanda、Deliverooなどの食べ物や飲み物を注文することができるアプリのダウンロードが加速しています。3番目が日本でもおなじみのウーバーイーツです。
台湾の公開データからも基本的に、自炊やネットショッピングは日本と同様に増加傾向となっていました。
・消費行動(実店舗よりオンラインで)
Weeklyの成長率で見ると、非対面型サービスが増加しており、スーパーやドラッグストアだけでなく、お寺のお参りなどのサービスもデジタル化が進んでいます。
台湾でのネットショッピング利用推移はコロナ以前からも年々増加しており、香港でもオンライン化に対してポジティブな反応が見られています。
・ 旅行意向
日本ロスで、とにかく旅行したいという傾向と、密をさけたコロナ対策を重視した傾向は続いています。
台湾内での、日本ショッピング(ドン・キホーテなど)での行列や外食としてはスシローが大人気となっています。また旅行意向としても、台湾内で日本風な観光地(お祭りや鳥居など)が脚光を浴びたり、台湾を出発して台湾に戻る周遊の飛行旅行などもにも已然として人気が集まります。実際の旅行としては、パラオとのトラベルバブルであるパラオへの団体ツアーが開始されました。
・ さいごに
日本国内ではまだまだコロナの影響が大きいですが、それぞれの消費行動の変化や旅行意向の変化などがおき始めています。特にコロナの封じ込めに成功している台湾や比較的に安定しているアジア圏では参考となる取り組みであったり、ニューノーマル時代のユーザーインサイトを掴んでおくことは今後の訪日対策のためにも重要となると考えています。