皆さんは台湾、香港からの訪日旅行客が日本にやってくるのはどの時期のイメージがありますか?
多くの方は1月末〜2月の春節や10月の国慶節に日本にやってくるイメージがあるのではないでしょうか。
実はそうではないのです。
まずはこちらの図をご覧ください。
図1 訪日旅行客数(台湾と香港)
参照:日本政府観光局(JNTO)2018年統計データ https://statistics.jnto.go.jp/graph/#graph–inbound–travelers–transition
グラフを比較すると、台湾からの訪日旅行客数は春節や国慶節の時期よりも旅行業界では閑散期と言われる4月〜7月の方が特に多いことがわかります。香港の訪日客数は多少の増減の差はありますが、1年間を通して見てみると、季節に関係なく、コンスタントに訪日していることがわかります。
図2 台湾、香港の年間インバウンドカレンダー
そしてこちらは Vpon JAPANが作成した中華圏からの訪日旅行客が増加する時期をカレンダーにしたものですが、台湾や香港の訪日旅行客数に限ってはこのカレンダー通りとはいかないようです。
台湾では4月〜7月にある休日はこどもの日、清明節と端午の節句があるのみで、この期間は決して休日が多い訳ではありません。香港では4月〜7月にかけて休日が多く、清明節やイースター、5月にはメーデーや仏誕節、6月には端午節、7月には香港返還記念日と月に1回以上は休日がありますが、その時期に訪日旅行客数が急増しているわけではありません。
では、なぜ4月〜7月にかけて台湾からの訪日旅行客数は多くなり、香港からの訪日旅行客数は休日関係なく、コンスタントに訪日をしているのでしょうか。
考えられる原因を大きく2つに分けてご紹介します。
1. 航空券が安いこと
図3 台北(桃園/松山)〜東京(羽田/成田)の往復航空券の最安値
参照:skyscannerhttps://www.skyscanner.jp/(大人1名、エコノミークラスの往復航空券の各月最安値から作成)
図4 香港〜東京(羽田/成田)の往復航空券の最安値
参照:skyscannerhttps://www.skyscanner.jp/(大人1名、エコノミークラスの往復航空券の各月最安値から作成)
上図を見ると、台湾、香港ともに3月を境に4月〜7月にかけて日本行きの航空券の価格が安くなっていることがわかります。
旅行業界全体としてこの時期はいわゆる閑散期と言われ、ホテルや航空券が安くなりやすい時期でもあります。台湾や香港の訪日旅行客は連休の価格が高くなる繁忙期ではなく、航空券が安くなる閑散期に時期をずらして訪日しているということが春節や国慶節のような連休でなくとも訪日旅行客が多い原因とも考えられます。
2. 季節に合わせて訪れている
表1 訪日旅行に関する意識
参照:観光庁「訪日外国人消費動向調査(2018年)」
(「訪日外国人消費動向調査」https://www.mlit.go.jp/kankocho/siryou/toukei/syouhityousa.htmlより国籍・地域(21区分)別 訪日旅行に関する意識 (満足度など)【観光・レジャー目的】内の今回したこと、次回したいこと(複数回答)から抽出)
観光庁の「訪日外国人消費動向調査(2018)」によると、「今回の訪日で桜や紅葉など四季の体感をした」と答えた台湾の訪日旅行客は17.7%、香港では12.8%でしたが、「次の訪日は四季の体感を目的にしたい」と答えた台湾の訪日旅行客は29.8%、香港は27.2%と次回の訪日では四季の体感をしたいと考える台湾、香港の訪日旅行客が同様のアンケートに答えた全国籍の平均よりも多く、日本の季節に対して関心が高いことがわかります。
訪日リピーターが多い台湾、香港の旅行客は食やショッピング、観光地巡りだけでなく、様々な日本の季節を体感するために休日に関係なく日本を訪れる傾向があるようです。その中でも桜人気と春の温暖で旅行しやすい気候が相まってこの時期にも訪日を検討する人が多いのではないでしょうか。
最近、お花見に行くと中華系の観光客が多い理由もうなずけます。
以上の2つが4月〜7月にかけて訪日旅行客数が多い原因であるとも言えますが、これらの理由以外にも、LCCを始めとして航空路線の新規就航や増便によりが座席数が増加したことや、国がプロモーションに力を入れた結果、4月〜7月にかけて訪日客が増加しているということも原因の1つでありで、一概にこれが理由というわけではないようです。
しかしながら、上記の理由から台湾、香港の訪日旅行客は春節や国慶節のような大型連休は関係なく、日本に行きたいから行くという考えや、日本への深い関心があるから日本に行くという傾向があることがわかります。
台湾、香港の訪日旅行客に向けて効果的に発信するには
これらのことを踏まえると、4月〜7月に訪日を計画している台湾、香港の人にも情報を発信していく必要があるということがわかります。
先述したように4月〜7月にかけて旅行業界は閑散期であるため、インバウンド広告のクリック単価も安くなっており、訪日中の旅行客に対して広告を配信するには非常に狙い目の時期でもあります。
図5 CPC(クリック課金型ネット広告)1クリックあたりのコスト
※Vponネットワークの平均的なCPCを1としてた場合の相対値
さらに、台湾、香港からのからの訪日旅行客が多い4月〜7月に来てもらうためには、台湾人や香港人は検討期間が短く、計画から約1カ月で旅行に行くことから、旅行を計画する旅マエの段階、さらに旅行をしようと決めたその瞬間から広告を配信していくことによってより効果的に配信することが可能になります。
ぜひ来年は4月〜7月にかけて台湾や香港の訪日観光客にアプローチしてみてはいかがでしょうか?