日本を待ちわびて〜SNSからみる訪日旅行への期待〜

日本を待ちわびて

■はじめに

昨今の新型コロナウイルスの影響により、東京オリンピックは2021年7月23日開幕、東京パラリンピックは2021年8月24日に開幕が延期されることが大会組織委員会より発表されました。2020年4月現在でも世界各国において入国制限が設けられており、収束するまで旅行は難しいものとなっています。

日本政府観光局(以下JNTO)の運営するVISIT JAPANのFacebookページなどでも各国への情報発信がされておりますが、台湾人向けのFacebookページは2020年3月2日の告知を最後に投稿が一次休止されております。一方、香港人向けのFacebookページでは投稿が続けられており、今回はSNSから見える香港人の訪日インサイトに焦点を当てたいと思います。

■調査概要

JNTOの運営するVISIT JAPANの香港人向けFacebookページの2019年2月〜3月と2020年2月〜3月の各投稿内容(全130投稿)のエンゲージメント(いいね、コメント、シェア)を調査しました。昨年2019年のコロナウイルス以前の動向とコロナウイルスによる入国制限中の2020年の比較値から現在の香港人の訪日旅行に対するインサイトを検証しています。

■ 2019年と2020年の比較

まず最初にいいね数(1投稿あたりの平均いいね数)の比較です。2019年2月と2020年の2月、同じく3月の比較になります。ともに2020年のほうが大きく上昇しています。特に3月は昨年比で69%上昇しています。(補足:香港人向けのVISIT JAPANのFacebookページのフォロワーは2019年3月で約36万2900人、2020年3月で約38万5400人で、6%増加しています。そのため、単純計算で6%程度の増加はフラットな数値だと見なすことができます。)

いいね比較

図 1:1投稿あたりの平均いいね数の2019年と2020年の比較

次にコメント数とシェア数の比較です(同じく1投稿あたりの平均値)。数は少ないものの、コメント数もいいね数と同様に2020年のほうが大きく増加しています。シェア数についても同様に2020年3月の昨年比は78%の増加となっています。

コメント数比較

図 2:1投稿あたりの平均コメント数の2019年と2020年の比較

図 3:1投稿あたりの平均シェア数の2019年と2020年の比較

昨年の傾向を見ても、2月よりも3月のほうがエンゲージメントが高くなりやすい傾向(おそらく桜などの華やかな投稿が目立つため)が見られていますが、2019年と2020年の比較では2月も3月も共に大きな上昇が見られました。これは、やはり日本旅行に対する意識が全く昨年と変わっていない、むしろそれ以上に日本の風景や街並みの投稿を見て“想いを馳せている”証拠ではないでしょうか。

■投稿カテゴリ別の比較

こちらのグラフはAからHまでの6つの投稿カテゴリ別の数値を比較したものになります。

A:伝統文化(城、神社、祭りなど)
B:風景(花、山、雪などの自然)
C:グルメ
D:体験(温泉、スキーなど)
E:アート(美術館、アニメなど)
F:買い物
G:スポーツ観戦
H:その他(災害情報、キャンペーン告知など)
(※FとGのカテゴリは数が少ないため今回の調査から排除)

カテゴリ別いいね数

図 4:カテゴリ別の平均いいね数(2019年と2020年比較)

結果として、B(風景)、C(グルメ)、E(アート)が大きく伸びています。Eは植物をとなりのトトロに見立てた鑑賞物の1投稿のみが跳ねていたため数字が大きくなっていますが、B(風景)で42%の増加、C(グルメ)で62%の増加が見られました。一方、A(伝統文化)、D(体験)、H(告知)ではさほど大きな変化は見られませんでした。大きく伸びた風景カテゴリの中には、桜や梅など、日本らしくもあり毎年人気コンテンツになっているものが多く含まれており、普段に増して日本旅行への期待度が高まったように思えます。
以下、カテゴリ別のコメント数、シェア数のグラフになります。こちらもいいねとほぼ同様の傾向となっています。もともと「いいね」「コメント」「シェア」の相関があることから同様の傾向にはなっていますが、やはり風景に対する意識は高まっているようです。

カテゴリ別コメント数

図 5:カテゴリ別の平均コメント数(2019年と2020年比較)

カテゴリ別シェア数

図 6:カテゴリ別の平均シェア数(2019年と2020年比較)

■さいごに

香港人向けのFacebookページのエンゲージメント数を昨年2019年の2月3月と今年の2020年の同時期を比較しましたが、特に3月についてはフォロワーの自然増加を大きく上回る増加率となりました。中でも桜や梅などの風景の期待度合いは、新型コロナウイルスによって日本へ旅行できないストレスの反動を現すように数値が上昇していました。
そして各メディアでも報じられているように、いずれは世界の状況が落ち着きこの入国制限が解かれ、香港人に限らず各国から日本旅行を楽しむ人が急激に増えることと思います。正式に2021年7月に東京オリンピックは延期が発表され、1年後ろ倒しになりましたが、その分益々日本への期待度は高ぶってくると思われます。そのときのために、どんな属性の訪日客をターゲットにすればよいか、どんな興味を持ってい人にどんな観光コンテンツを楽しんでもらえばいいか、事前に検討しておき集客プロモーションもそれと連動した形で行えると理想的だと思っています。

※本記事はVISIT JAPANのFacebookページをVpon JAPANが独自分析したものになります。


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