大盛況のうちに終了した、7月15日(水)開催のイベント「INBOUD ONLINE CAFE〜お酒片手に語ろうよ、インバウンド夜会〜」
新型コロナウイルスの影響で訪日旅行を取り巻く環境は大きく変わりました。今回のイベントで行ったアンケートでも、回答してくれた方の6割以上がこの状況を予想していなかったと考えている事がわかりました。
ということで、「インバウンドはこれからどうなるのか」「他国の状況はどうなのか」について思いや考えを共有すべく、弊社の女性社員4人と飲み物を片手にイベントを行いました。
今回のレポートでは「台湾の今」を中心に、当日の様子をお届けします。
■台湾の今
イベント内のアンケートで、今後注力したい国/エリアについて訪ねたところ、台湾が一番多い結果となりました。
台湾は新型コロナウイルスに対する防疫対策が成功した国の1つとして、海外旅行の解禁も他国より早いものとなるでしょう。
そんな台湾では観光の再開に向けてどのような対策が取られ、そして国民はどのような生活をしているのでしょうか。今回は台湾出身のインバウンドデータ事業部アカウントマネージャーのJoy Liuより、「台湾の今」について最新のニュースやVponデータからお話をさせて頂きました。
観光ロードマップ
台湾は政府などが行った新型コロナ対策が功を奏し、現在まで新規感染者数が低水準で推移をしています。そのなかで台湾では5月に観光復興に向けて3段階に分けて施策を行う観光ロードマップを策定しました。
・第1段階
第1段階は旅行業界の変革を目指すために「防疫旅行期間」と題して、食事、宿泊、外出先、移動手段に対してアドバイスを促し、withコロナ時代の観光のあり方を発信することを目指して行われました。
・第2段階
そして第2段階は「安心旅行期間」として7月1日から実施しており、台湾版Go toトラベルキャンペーンとして、国内旅行を行う国民に対して補助金を支給しています。
・第3段階
最後の第3回目は「国際旅行」として10月1日以降開始を予定しており、外国人観光客の受け入れを目指しています。日本、韓国、東南アジアなどの近隣国から受け入れを開始していくという予定になっています。
国内旅行が活況を見せた端午節
台湾では市内感染者数が90日以上0人の状態が続いていることから6月には経済活動が再開しており、元の生活に戻りつつあります。
6月25日から6月28日までの端午節は感染対策による規制緩和をして初の連休だったこともあり、国内旅行は大盛況となりました。鉄道や新幹線のチケットも取れず、どこの観光地も人で溢れかえっていたようです。
観光地における観光者数の変化をVponデータから見てみます。台湾最南端のリゾート地「墾丁」にある墾丁大街では、観光者数は4月に底を打ちましたが、5月から右肩上がりになり少しずつ回復に向かっています。
実際、墾丁の繁華街である墾丁大街における旅行者のヒートマップを見ると、4月の時点では人がまばらな状況となっていますが、端午節連休中の6月27日にはヒートマップが赤く染まっていることがわかります。墾丁では新型コロナ前以上の観光者数を記録しているそうです。
7月以降も台東で行われた気球イベントでは12万人が来場するなど、台湾ではコロナ以前の生活を取り戻しつつあります。
マスクは電車やバスなどでは着用が必要となりますが、感染者数が落ち着いていることやこの季節の台湾は気温が35℃以上を記録することが多いため、公共交通機関以外ではマスクを着用しない人も増えてきています。
台湾で人気の国内旅行
台湾の大手旅行代理店によると、以下のようなスポットが人気の旅行先となっています。
1自然、2離島、3地方
やはり自粛の反動で開放的になれる場所が人気となっています。日本でも今後こういったところが人気になってくると思われます。
■日本国内の様子は?
今回のイベントでは東京と大阪からzoomを繋いで行われました。
インバウンドが多い新宿と心斎橋にオフィスを構える弊社ですが、現地から東京と大阪の今のリアルな状況を紹介しました。
新宿
弊社は新宿駅の新南口、バスタ新宿の隣に本社を構えています。
新型コロナ前の新宿は欧米豪、アジア圏問わず多くの訪日外国人で賑わうエリアです。
新型コロナ前は新宿で働く人々や、新宿へ買い物にきた人、そして訪日外国人やバスタ新宿から高速バスに乗りに来た人などで四六時中大変賑わっていましたが、コロナ禍にはお昼であるにも関わらず、大幅に人が減少しています。
緊急事態宣言解除後は訪日外国人を除いては人がだいぶ戻ってきた印象でしたが、再び新宿を中心に感染者が増えてくると、減少しています。
大阪
今年5月の関西国際空港の外国人旅客数は、2,589人で前比-99.8%(2019年5月の外国人旅客数は1,484,593人)という状況になっています。そのなかで大阪の街中の様子も変化しています。
大阪は夜の消費が日中よりも落ち込む傾向にありますが、それにしても人が全然いない状況です。さらに大阪モデルが7月12日よりイエロー(警戒)となったこともあり、人の数がより少なくなっている状況です。
また昼夜問わずインバウンドで賑わう心斎橋筋商店街でも昨年はインバウンドで混雑していましたが、今は殆どいない状況です。そのため心斎橋筋商店街に多くあるドラッグストアでは時間を短縮して営業を行っていたり、閉店しているところも少なくありません。
■現地の人に見てもらえるページを作る
イベント参加者へのアンケートによると、54%が「日本への入国制限が解除された後」、13%が「注力したい国での新型コロナウイルスの影響が沈静化したら」という結果となった一方で、「すでに始めている」人が33%という結果となりました。
実際に弊社の現地スタッフに聞くと、「来れるようになったらぜひ来てください」というメッセージの広告を見かけることも多くなったようです。
そのなかで今後、現地の人向けに広告を配信し、効率的に見てもらうには、しっかりと現地の人に刺さる広告を配信しなければなりません。
では、Vponではどのようなことに気をつけて広告運用を行っているのでしょうか。
実際に広告運用を行うインバウンド広告事業部の西村と現地の目線からJoyに話を聞きました。
広告運用の目線から
翻訳するだけでは意味は伝わるけど刺さりにくいページが出来上がってしまうため、台湾や香港の現地スタッフの目線を参考にしたり、今までのデータからどういうページが刺さりすいのかを検証しながら進めています。
現地目線から
ターゲットのことをあまり理解しないままでインバウンドプロモーションをしてしまうと、ターゲットである現地の人に全く刺さらない場合があります。
例えばマンゴーの場合だと、台湾だと安く購入することができます。以前、日本のスーパーで1個500円のマンゴー買ったことをFacebookに書いたら台湾の友達に「台湾なら2つ150円で購入できるのに」と言われたこともありました。
マンゴーは台湾が本場であるという思いもあるので、例えば日本のマンゴーを台湾に売り出すとしたら、日本語の文章をそのまま翻訳して出すのではなく、どんな特徴があるのかや、日本のマンゴーにしかない魅力を発信して購入意欲を高める必要があります。
みなさんも世界中の「変な日本語」を見て笑ってしまうことがあると思います。それは他国の人も同じで、日本で見かけた「変な自国語」で笑っているかもしれません。それはつまりメッセージを伝えていない人に正しく伝わっていないということなのです。
また、気候や文化など周辺の環境の差で、日本の当たり前が他国にとっては当たり前ではないことが多くあります。
なのでメッセージを正確に伝え、現地の人の心に刺さるようにするには、現地の人の意見を聞きながら、ページを作成しなければなりません。
■おわりに
今回のイベントでは台湾の今を中心にお話をさせて頂きました。
今後少しずつ回復していく見込みのインバウンド。まずは近隣国から旅行者が日本に訪れるものと見られます。インバウンドが回復する日に向けて私たちはどのような対策を行えばよいのでしょうか。
これから入国制限が緩和され、旅行ができるようになったとき、インバウンドを取り巻く環境は以前とは全く違う状況となるでしょう。
そのために常にプロモーションを行いたい対象国の情報を知っておく必要があるでしょう。
弊社では台湾や香港出身スタッフから常に現地の最新情報を収集しています。
今後もセミナーなどを通じて最新情報を発信していきますので、ぜひご覧いただけますと幸いです。