■ 2020年 中国の国慶節はどうだったのか?
2020年の中国の国慶節は、10月1日から10月8日(8日間)でした。海外旅行は中国でも日本と同様に航空便の回復や国交との関係でまだ難しいものの、中国国内旅行の様子はどうだったのでしょうか。特に中華圏の国慶節・国慶日は大きな連休であり、今年は中秋節の祝日と被る珍しい連休となりましたが、旅行時期としても毎年注目が集まります。
結果は、以下になります。2019年の国慶節(10月1日〜10月7日)と2020年の国慶節(10月1日〜10月8日)の期間の中国国内の観光客数を比較したものになります(※)。
中国全体でみると、観光客数が前年比79%となり、まだ完全に回復はしてないものの、中国の観光省が推定した数値を大きく上回る結果となりました。北京の観光客数だけでみると、108%となっており昨年比を超えています。コロナの発生地となっている武漢でも中国全体と同様に前年比80%となっており、封鎖されていた反動で一次的には旅行先としても人気になっていた時期もありました。
実数でみると、2020年の国慶節の中国国内旅行者数は、6億3700万人となり日本の人口と比べても相当な数であることがわかります。これで79%なので、ポテンシャルとしてはまだまだ大きいものとなります。これらの旅行者が今後、海外旅行を計画するとすると旅行市場としても相当大きなマーケットとなっています。
■ 国慶節の旅行消費額
こちらは国慶節の旅行消費額になります(※)。観光客数のグラフと類似した傾向になっており、中国全体では前年比70%、北京では103%、武漢では70%となっています。やや消費単価が控え目となりましたが、それでも北京では前年比超えの103%となっており地域によっては完全回復しているといえます。
こちらも実数でみると、中国全体で4,665億6,000万元(約7兆4,650億円)となっており、日本円で7兆円を超えています。北京では115億元(約1,840億円)、武漢89億8,400万元(1,437億4400万円)となります。(1元=約16円)
■ 今年の国慶節の人気観光地は
北京などの都市はもちろんですが、他にもxinhuanet.comによると、広東省では、夜間観光のほか、農村観光や歴史・文化ツアーなどが人気を集めた結果となりました(※2)。また、古代の都である西安では1474万人の旅行客が訪れる人気地となりました(※3)。特に、兵馬俑博物館公園、大唐不夜城などの観光地が再び注目を浴びています。
シートリップらが発表していたとおり、内陸部の西北地方(西安など)のような自然があり少数民族のいる地域にも人気が集まっています(※4)。
日本でもGo To トラベルキャンペーンの対象にと東京が追加されたことや、Go To Eatの開始、また東京では都民限定のキャンペーンなどが開始され、様々な課題がありながらも国内旅行は新たなフェーズへと進んでいます。台湾もそうですが、中国でも日本以上に国内旅行が既に活発化しており今後の海外旅行へのフェーズへと移った際は、衛生面を最大限に意識しながらまた同時に観光地で喜んでお金を落としてもらえるように検討しておく必要がありそうです。
例えば、人混みの少ない自然やきれいな景色がこれまで以上に人気が出ていることや、また文化や歴史のような観光コンテンツにも再注目が集まります。そのため、コロナの前と同じ対策ではなくコロナ後を見据えた観光コンテンツやキャッシュレス化などを含めた衛生対策の準備がこれまで以上に必要となるのでしょう。
※1: 中国文化旅游部の推計およびJETRO参照
※2:xinhuanet.com(http://jp.xinhuanet.com/2020-10/06/c_139421327.htm)
※3:共同通信(https://kyodonewsprwire.jp/release/202010165838)
※4:Yahooニュース:https://news.yahoo.co.jp/byline/nakajimakei/20201001-00200688/