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日本全体で創るクールジャパン50兆円市場
〜稼ぎ頭インバウンドは高付加価値化で富裕層を魅了する〜
この5年間でコンテンツ輸出は3倍の4.7兆円に拡大し、インバウンド観光消費額は5.3兆円で史上最高。2030年〜2033年までの海外需要開拓の市場規模は約50兆円と想定されており、政府も実現に向けた取り組みを推進している。
そこで今回の特別対談では、内閣府のクールジャパン戦略推進会議メンバーでもある梅澤 高明氏に登壇いただき、クールジャパン市場拡大の推進に当たって解決すべき課題について探った。
富裕層の訪日誘客に向けた課題
篠原:2030年から2033年ぐらいまでの間に海外市場を総額50兆円規模に開拓していく。
クールジャパンがここまで成長していくと、日本の経済規模全体の10分の1、もしくはそれ以上のとてつもない事業機会というかですね、日本経済がもう一回再浮上していく上でのラストピースなんじゃないかっていうぐらいのオポチュニティがあるんじゃないかなと思っていてですね。インバウンドは稼ぎ頭として、今後一人あたりの消費単価を上げていく上では、いわゆる高付加価値なものを開発していくということだと思うんですけども、例えば観光庁さんの地方における高付加価値なインバウンド観光地づくり検討委員会の座長というお立場としても、このあたりのプロジェクトっていうのはどういう状況なのですか。
梅澤:2018年ぐらいから日本のインバウンド観光をもっと富裕層市場の開拓に舵を切るべきだってずっと申し上げていたんですけれども。当時は菅さんが官房長官でいらして、菅さんにも何度か訴えて。「言ってることはわかる、そうしたい。でも、どうやったらできるかイメージがわかない。」と言われて。
そのままペンディングになってたんですよね。2020年コロナが来て、菅さんが総理になる直前でしたけど、やっと受け取っていただけて、2020年に上質なインバウンド観光サービス創出というお題で戦略検討委員会が立ち上がって。そこから僕も本格的にこのテーマに関わってきたっていう感じです。
そのころからずっと申し上げているのは、突き詰めると3つの問題意識です。
1つ目が地方部での上質な宿泊施設が決定的に不足している点。「上質」と言ってるのは、必ずしもリッツカールトンとか、あるいはマンダリンオリエンタルみたいな外資のラグジュアリーホテルを誘致しましょうっていう話ではなくて、もう少し小規模な、例えば30室ぐらいのブティックホテルだったり、さらに小さなオーベルジュだったりみたいなものが、日本のすごく魅力的な観光資源のある田舎に点在しているような状態をつくれませんか?と言うものですね。
2つ目の問題意識は、富裕層向けのトラベルデザイナーとか、あるいは富裕層向けのガイドをもっと本格的に育成をし、質量ともに強化をしていく必要があるといった点ですね。
そして3つ目の問題意識は交通、特に二次交通です。現状で言うと、電車の駅を降りた後や、空港に着いた後の交通が本当に貧弱で。
タクシーもハイヤーも台数も足りないし、それからライドシェアが解禁されてないので、結果的には決定的に足がたりないみたいなことが日本全国で起こっていて。この辺を総合的に解決するっていうのが、やっぱりこの富裕層、観光市場を本格的に伸ばしていく上で一番大事なテーマかなと思っています。
これらは2020年、2021年の戦略立案の段階から提言してきたんですが、その先に地方でインバウンド観光地づくりをより具体化していきましょうっていうフェーズに2022年に入って、そこでおこなわれたのが全国で11か所の高付加価値なインバウンド観光地をつくるという11か所の選定がおこなわれて、いまそれぞれの地域で具体的にどういうアクションをとっていかなければいけないかという具体検討を現在進行形でおこなっているという形になりますね。
旅行コンテンツのさらなる開発に必要なこと
篠原:色々な価値観を持っている訪日富裕層がいる中で、100万円使える方もいれば、500万円、1,000万円を使う方もいて。使う金額に対する価値の感じ方もそれぞれ違う、興味関心どころも違う中で、日本の中では観光資源って本当に豊富にあると思うんですけど、業界の中でもよく話題に上がる観光資源を「磨き上げる作業」と、これをしっかりコンテンツとして「知ってもらう活動」がまだまだ欠けていて。そこが課題の一つで、旅行コンテンツのさらなる開発っていうところに繋がっているのかなと思っているんですけど、ここはどうすればいいんですかね。
梅澤:観光分野全体に関していえることは、もっともっと新規参入を増やすべきだなと思っています。その新規参入っていうのは、観光コンテンツの開発や運営をする事業者、日本っていうコンテンツを様々な形で料理をして世界に発信してくれる人たち、ホテルやリゾートみたいなものに投資をする投資家などを増やした方が良い。
既存の日本の観光産業というところで事業をしてきた人たち”だけ”では固定観念に囚われてしまっていて、例えば「一人で300万円使うお客さん」って言われても「全くイメージ湧きません。」で終わっちゃうんだけど、富裕層ビジネスを外でやってきた人から見ると、富裕層って観光の時には結構こんな風に行動したりするし、大事なことはこの3つだよみたいなことは肌感覚で分かってたりするから、そういう人たちが観光業界に参入するとか、あるいは東京のど真ん中で街づくりをやってきた人たちが地方で魅力的な観光の面開発をしようと思ったらどういう仕事ができるんだろうって言って、もう一回地方のリゾート開発に再参入もしてほしいなと。
篠原:梅澤さんのようなオーガナイザーというか、プロデューサーというか、行政・クリエイター・観光地の方々・発信できる人たちを巻き込んでというオーガナイザーのような人が増えて、そういう人が、いろんな人とお金を巻き込んでやっていくとムーブメントが起きてきそうだなって思いましたね!
梅澤:もう、篠原さんやりましょう!
このほか、著書「NEXTOKYO」、ナイトタイムエコノミー、クールジャパンの活動、観光、アドベンチャーツーリズム、プライシング、そしてどんなタイプの方々に参入してきてほしいかという想いなど、50分間盛りだくさんの内容は下記収録動画で全編無料でご覧いただけます。
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梅澤 高明氏(うめざわ たかあき)
A.T.カーニー 日本法人会長/CIC Japan 会長
ナイトタイムエコノミー推進協議会(JNEA)理事
KEARNEYの日米オフィスで25年間、戦略・イノベーション・都市開発関連のコンサルティングを実施。
日本最大級のスタートアップ集積拠点CIC Tokyoを2020年開設。CIC (Cambridge Innovation Center)は米国ボストン発、世界9都市に展開する大規模スタートアップ拠点運営のパイオニア。CIC Tokyoでは300社の入居企業とともに、ライフサイエンス、環境・エネルギーなど多様なテーマでイノベーションコミュニティを構築。2025年にCIC Fukuokaを開設予定。
ナイトタイムエコノミー推進協議会理事として夜間観光・文化観光・富裕層観光の推進に注力。観光庁・文化庁の施策を通じて、全国各地の観光コンテンツ事業の立上げを支援。
内閣府「知的財産戦略本部」本部員、観光庁「地方における高付加価値なインバウンド観光地づくり検討委員会」座長などを務める。著書に「戦略シナリオ・プランニング」(編著、東洋経済新報社)、「NEXTOKYO」(共著、日経BP)等。
篠原 好孝(しのはら よしたか)
クールジャパンDXサミットオーガナイザー/Vpon Holdings株式会社 代表取締役/Vpon JAPAN株式会社 代表取締役社長
学習院大学卒、LVMH ルイヴィトンを経て、26歳で起業。
WEBマーケティング事業や業務改善コンサル事業などを展開する傍ら、外資系の日本事業開発を経験。
2014年Vpon JAPAN株式会社を設立、代表取締役社長に就任、クールジャパンDX支援に特化し、インバウンド向けでは日本政府開発観光局(JNTO)や、大阪観光局、JR東日本企画など複数の戦略的パートナーシップを主導。
2019年Vpon Holdingsの設立からグループの共同代表を兼務、2020年にクールジャパン機構から約22億円の資金調達を主導。クールジャパンのDXを官民上げて盛り上げるべく、クールジャパンDXサミットを主宰、「ニッポンのモノ・コト・ヒトで世界を元気に!データ&デジタルの力で世界にチャレンジできる社会をつくる」というゴールを掲げ日々活動している。