Vpon JAPANは、琉球銀行を母体とするシンクタンク「りゅうぎん総合研究所」と、共同レポート「沖縄県内における台湾からの入域客の動向」を発表しました。
レポート本文は、りゅうぎん総合研究所のWebサイトをご覧ください。
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要旨
- コロナが収束し、様々な制限が撤廃され世界中で旅行需要が高まるなか、日本を訪れる外国客の増加が著しい。2023年度の訪日外国人数はコロナ禍前の18年度の91.2%まで回復している。また足元では過去最多の水準で推移している。
- 沖縄県においても同様に増加傾向にあるものの、23年度は18年度の42.1%の回復にとどまり、全国と比較すると回復の勢いは鈍かった。ただ増加傾向は継続しており、今後更に多くの外国客を迎え入れる準備として動向を把握し、その需要をいかに的確に取り込むかが重要である。
- 当県を訪れる外国客の割合は以前より台湾からの入域客が最大であるが、23年度は台湾が41.8%と18年度(30.8%)より割合が増加した一方、中国は6.3%となり、18年度(25.7%)より大きく減少した。
- 台湾からの入域客数については全国、沖縄ともに右肩上がりで推移していたが、コロナ禍で大きく減少した。その後23年度から回復の勢いは継続している。
- 23年の外国客の消費動向(全国)は過去最高となり、台湾が最も消費額の多い国籍・地域となった。台湾からの入域客の一人当たりの旅行支出は、全国籍・地域の平均よりやや低く、内訳は買物代(34.8%)、宿泊費(28.2%)、飲食費(21.3%)となり、買物が旅行の大きな目的となっているものの、消費は「モノ」から「コト」にシフトしている傾向もみられる。
- Vpon JAPAN社の人流データでは、台湾からの入域客を含め外国客の滞在日数の長期化が顕著である。また県内各地へ訪問している様子が確認できた。各地への訪問目的は明確ではないものの、各種イベントや大型ショッピングセンターの存在が考えられる。
- データからは①沖縄を訪れる台湾からの入域客の割合の増加、②消費額の高さ、③滞在日数の長期化、④各地を自由に訪れる台湾からの入域客の様子を確認した。沖縄県の観光の質を高めるために滞在日数の長期化や観光消費額の向上が求められており、台湾からの入域客はその課題解決につながるターゲット層のひとつであるといえる。
- 外国人の旅行需要を更に取り込み地域の発展を目指すためには、①多言語対応やキャッシュレス対応などの受入れ体制・設備を強化、②データによる動向把握、③地域の魅力となる「コト消費」への対応が求められる。